月の夢うさぎ

リサちゃんは小学校2年生の女の子です。
リサちゃんは月が輝く満月の夜がだいすきです。
なぜかって言うとね。

満月の夜、ベッドに入って目を閉じると、
月の世界に行けるからなんだ。

ぴょんぴょんぴょん、月の世界では5匹のうさぎさんたちが
リサちゃんを待っていました。

「やあ、リサちゃん。
まだ、お話が始まるまでに時間があるから、
お花畑を見に行こうよ。みんなそこにいるよ。」

リサちゃんは、待っていた友達のユミちゃんやハルくんと一緒に
お花畑の一本道を通り、
赤いやねのたてものへと向かいました。

お話の時間になると、みんな待ちきれない様子で
うさぎさんたちを見つめました。

そして、お話が始まるとリサちゃんは
どんどんお話の中に引き込まれていきます。

そのお話はモニカという女の子が
お父さんにお月さまをとってもらうお話でした。
お父さんにお月様をとってもらった時のモニカの喜びや、
お月さまが消えてしまった時の悲しい気持ちが
こちらにまで伝わってくるようでした。

お話はあっという間に終わり、帰る時間になりました。
みんなが出口に向かっていると
うさぎさんたちが「ちょっと待ってね」と言って、
青いバラを三人に一本ずつ渡してくれました。

「すごい!青いバラだ!」
「青いバラの花言葉は夢が叶うっていうんだって」

花を握りながら建物を出ると、
そこはもうリサちゃんの部屋。 ユミちゃんもハルくんもいません。
みんなそれぞれの家へ帰ったのです。

これは夢のお話ではないよ
だって、目を覚ましたリサちゃんの枕の横には
美しいバラの花が一本置かれていたから。

それから10数年がたって、リサちゃんは大人になりました。
お花屋さんをオープンしたばかりです。
ユミちゃんは保育士になるために勉強中です。
ハルくんは両親の食べ物屋さんを手伝いながら、
一人前の料理人になるために頑張っています。

みんなすっかり大人になって、
あの頃のおもかげはほとんどないけれど、

うさぎさんたちの事はちゃんと覚えています。
だって、ほら、あの時の青いバラは今も枯れずに輝いているから。